◆引札

引札というのは、今のチラシのことで、商店の宣伝や売り出しの告知をするために広く配布された。
引札は江戸時代に始まったもので、越後屋(三越の前身)が、天和3年(1683)、日本橋駿河町に開店した折りに出したものがよく知られている。これには「現金安売り掛値なし」とあり、呉服販売の大変革の告知でもあった。
明治になると、海外から新しい印刷技術が導入され、多色刷りの美しいものが出て、大量印刷も可能になってコストが下がったことから、地方にも広まった。

引札は、江戸に続く木版単色刷りから、明治後期に一大開花をとげたものである。絵柄には様々なテーマがみられる。風俗が描かれたものは、明治の雰囲気を伝える。年末年始のあいさつにはめでたい図柄も多く、二宮金次郎など物語性のあるものや歌舞伎役者を描いたものなど多彩である。
大阪などの大きな版元で絵柄を刷って地方に販売したようで、同じ図柄が各地各商店で使われている。また、同じ商店が出した図柄の違うものなど、明治の経済発達がうかがわれる。

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