製作工程と道具として履く

製作工程
日本は多湿なことからも下駄が広範に使用されてきた。国土の四分の一が海面より低いオランダでは湿地に適した木靴が普及していた。日本では軽くて木肌が美しく肌触りがいいことからキリを、オランダでは軽くて無臭、強くて加工し易いことからヤナギやポプラを用いてきた。ここでは、木取りから完成までの工程を実物資料と写真で紹介している。それぞれに知恵と工夫がみられるのだが、下駄は約1100グラムから218グラム、木靴(子ども用)は736グラムから142グラムと、どちらも完成時には20%弱になってしまうことである。資源の無駄といえばそうであるが、豊かな森林に恵まれた所産でもあった。

長崎県千々石町の手作り下駄屋さんの仕事場。
四角に掘った廃棄穴に向かって、座って作業する。背面の板壁には、研ぎすまされたノミやカンナなどの工具が整然と並べられている。この工具とともに「道具」となるのは「手と足」である。丁寧で細心の道具さばきが、熟練の腕を表す。

オランダ・ベスト市の手作り木靴の職人さん。
ここでは高く据えた台や工具で、立って作業をする。写真の作業は「長い刃のナイフ」で外形を荒削りするものである。工具の違いが興味深い。この作業で、左右対称の木靴を同一形にするのであるが、相当の熟練を要したと思われる。それ故ではないだろうが、古いクロンプには左右の差があまりない。

道具として履く
博物館のメインテーマ「田下駄から宇宙靴まで」は、古代から現代までの歴史を含むとともに、はきものには機能性が託されていることを示すものでもある。加工が容易で、大型になっても比較的軽いことから、日本だけでなく、世界にも仕事の道具として工夫されたものをみることができる。
壁面右は日本の田下駄であるが、左はアメリカのスノーシューである。日本語にすると「雪靴」ではなく「かんじき」となる。積雪時の歩行には欠くべからざるものだった。かんじきはスノーシューの半分以下の長さである。狭い山国日本と大平原を有する北アメリカの自然の違いも示すのだろう。スノーシューの下部の細い突起状のものは、これによって方向を定める役目をするという。その他、シリアのオリーブ石鹸作り、オランダの泥炭地の歩行、などと用途様々である。

関連行事へ
博物館トップへ